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越境ECの推移と今後の展望

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ここでは、統計データを参考に越境EC市場の推移や将来の予測について解説します。日本で越境ECを始めた場合に期待できることや、直面する課題・リスクと成功させるために必要なことについて紹介します。

越境EC市場の推移

世界の越境EC市場規模の推移予測

経済産業省の電子商取引に関する市場調査(令和6年度)によると、2024年に1.01兆USドルだった世界の越境EC市場の規模は、2034年には6.72兆USドルに拡大すると予測されています。2025年から2034年の年平均成長率は約23.1%と推計されており、今後10年で越境EC市場が大きく拡大していく見通しです。

市場規模が拡大すると考えられる背景としては、越境ECの認知度の上昇自国にはない商品・限定品への取得欲求商品が安価に手に入ること商品やメーカーに対する信頼性、多様な決済手段の普及などを挙げています。

日本の越境EC市場については、市場調査会社レポートオーシャンが2024年の約34億ドルから2033年に136億ドルに成長すると予測しています。越境EC市場が拡大するなかで事業者が成功するには需要をいかに取り込めるかがポイントといえるでしょう。

[PDF]参照元:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」P.103(https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005-a.pdf
参照元:レポートオーシャン・ニュースリリース(2025-04-12)(https://newscast.jp/news/5076799

越境ECの今後の展望

世界的に今後も越境ECの市場は拡大すると予測されていますが、国や地域別にはどのような動きが考えられるのでしょうか。越境EC普及に影響するポイントと合わせて今後の展望について解説します。

アジア太平洋が市場拡大の中心

世界のオンラインショッピング人口

2024年時点でのオンラインショッピングをする人口

経済産業省の調査結果によると、2024年時点でのオンラインショッピングをする人口の1位は中国で9億2,261万人。2位はインドの3億6,786万人、3位がアメリカで2億2,206万人と続き、日本は6位で8,261万人となっています。

この時点で、中国のオンラインショッピング人口は日本の約11倍いて、この他に5位にインドネシア9,393万人が入っていることも考えると、今後の市場拡大の中心はアジア太平洋地域であることが分かります。

[PDF]参照元:参照元:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」P.106(https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005-a.pdf

世界のEC化率

世界のEC化率

さらに、世界のEC化率においても中国がトップで50.1%、2位はイギリス30.7%で、3位が韓国、4位インドネシア、5位ギリシャと続きます。

オンラインショッピング人口・EC化率ともに高い国が多いアジア大変要地域は、今後の越境ECターゲット国として無視できない存在です。越境ECを検討する際には、単に「人口が多いかどうか」だけでなく、「EC利用の浸透度(EC化率)」も合わせて見ていくことが重要です。

[PDF]参照元:参照元:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」P.108(https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005-a.pdf

日本製品人気が追い風に

海外の消費者は日本の越境ECで何を購入するのでしょうか。経済産業省の調査では日本の高額売れ筋商品の1位はブランド時計2位がトレーディングカード3位がアニメのフィギュアとなっています。

また、BEENOSが行った調査では日本に興味を持ったきっかけとなった文化トップ3はアニメ・ゲーム・漫画で、越境ECで購入する商品ジャンルもアニメグッズ、ゲーム関連グッズ、ファッションが上位を占めています。

では、EC大国である中国が越境ECで購入したい日本の商品は何かというと、1位は美容コスメ(44%)2位は衣料品/アパレル(43%)3位が食料品・アルコール

購入したい理由として、国内にない・信頼できる・高品質を挙げています。(経済産業省 調査)

現在、アニメを始めとする日本の文化や商品の品質の高さは世界でも注目されており、今後もこうしたクールジャパンの日本製品人気が越境EC普及の追い風となると考えられます。

参照元:参照元:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」P.111、P.116(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf
参照元:インプレス社「web担当者Forum」(https://webtan.impress.co.jp/n/2024/09/09/47684

AI・ビッグデータ・物流DXなど技術革新が普及を後押し

生成AIに代表されるように、昨今のAI技術の進歩には目を見張るものがあります。越境ECにおいても、AI技術を上手に活用すれば、消費者の好みや行動を予測し、それに基づいたマーケティングが可能になるでしょう。

また、蓄積したビッグデータを分析することで、市場トレンドや人気商品などの情報が把握できます。今後の越境ECは人の勘に頼るのではなく、AIとビッグデータを利用することで、品揃えや競争力をつけていくことが基本になると考えられます。

さらに、注目したいのは物流DXが進んでいることです。これにより、配送ルートの最適化や物流センターとの連携、物流の機械化などが進めば、越境ECの課題の一つである物流・配送のインフラ整備ができます。将来はこうした技術革新がEC普及を後押しする力となるでしょう。

解決すべき越境ECの課題・リスク

越境ECの課題

越境EC導入についての調査によると、導入検討の際の課題の1位は「海外配送のための対応」70.6%で、2位の「言語の壁」56.9%、3位「コスト」 52.9%を大きく引き離し7割を超えています。

海外配送は梱包や配送キャリアとの契約、インボイス対応など、国内配送とは違った対応が必要になってきます。そのため、ハードルが高く頭を悩ませるポイントです。また、コストにも含まれますが海外送料が高いというのも事業者を悩ませます。

参照元:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」P.119(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf

規制・関税対応、物流インフラ整備が必須

越境ECの配送については送料だけでなく、関連する課題が複数存在します。ここでは、配送のネックとなる課題について紹介します。

規制

輸入に関する法律や規制は国ごとで異なります。日本国内法で輸出が禁止されているものはもちろん、ワシントン条約規制対象の動植物・加工品、航空法上の危険物のほか、アルコールや医薬品、たばこなどは国によって送れないケースがあるのです。

規制は毎年様々な国で改定されています。例えば、中国では中古品ECのルール整備が進み、商品の状態基準づくりや返品しやすい仕組み(7日間クーリングオフ)が強化されています。これにより消費者保護が手厚くなり、出品者側にはより正確な商品説明や対応品質が求められています。

輸入規制・禁制品の違反を回避するためには、相手国の事情を徹底調査して対応するしかありません。また対象物は変わることもあるため、常に最新の情報を事業者側で把握しておくことが必要です。

関税

関税に関しても国・州・郡により異なります。関税率は商品や個数によっても変わりますので、注意が必要です。関税・輸入税については購入者が負担するのが原則ですが、販売者が負担するケースもあります。

販売者が関税を負担する場合は、その分を商品価格に上乗せする必要があり、価格競争力に影響します。トラブルを避けるためには、商品ページに「関税・輸入税は誰が負担するのか」を明記することが重要です。

また、購入者から受け取った税金は、適切に相手国の税務当局に納税しなければなりません。納税タイミングや納税方法はその地域によって異なり、適切に行わなければ納税義務違反となってしまうため専門家の助言を得つつ、確実な運用体制を構築する必要があります。

物流インフラ

国によっては物流インフラが整っておらず、配送物が乱暴に扱われて商品の破損・紛失リスクが高いケースがあります。特に郵便インフラが整っていない国は注意が必要です。また、輸送中の湿度や温度変化も破損の原因になります。

物流インフラについてはそれぞれの国の事情に左右されますが、破損リスクは梱包を強化したり、保険を用意したりすることで軽減が可能です。配送の安定性を上げるには、信頼できる複数のキャリアを併用し、国・エリアごとに最適な配送手段を使い分けることが有効です。

競争激化による差別化戦略の重要性

越境ECの市場の成長性については世界中で注目されています。今後は日本においても国内ECの越境化や積極的に海外のマーケットを狙う事業者が増加することが考えられます。同業他社が増えると価格競争に巻き込まれる可能性もあるでしょう。

そこで重要になってくるのが「ブランドと顧客体験を軸にした差別化」です。他社には販売できない独自商品の取り揃えや、他社では対応できない独自の顧客サービス(返品ポリシー、サポート体制、コミュニティ運営など)を組み合わせ、価格以外の軸で選ばれるブランドを目指すことが、越境ECでの持続的な成功のポイントといえるでしょう。

BtoB 越境ECの市場規模: BtoC を凌ぐ巨大市場の可能性

2026年 世界EC市場規模比較

越境ECと聞くと、多くのメディアや記事では一般消費者向けの「BtoC(企業対消費者間取引)」にスポットが当たりがちです。しかし、実態としての市場規模、および今後の成長ポテンシャルにおいて、BtoCを遥かに凌駕しているのが「BtoB(企業間取引)越境EC」の市場です。
最新のデータによれば、世界全体のBtoC EC市場規模が2026年に約7~9兆ドル規模と予測されているのに対し、世界のBtoB EC市場規模は2026年までに約36兆ドル(約5,400兆円)に達すると試算されています。つまり、BtoBはBtoCの数倍以上という大きな市場規模を誇っているのです。
※BtoC市場規模は調査機関により幅があります(Grand View Research:約8.5兆ドル、Precedence Research:約9.3兆ドルなど)。BtoB EC市場規模はExperroやUS Trade.gov(米国国際貿易局)など複数機関が2026年に約36兆ドルと試算。
これほどまでにBtoBの企業間取引がオンライン化・越境化している背景には、以下の3つのミクロな構造変化があります。

1. 卸売のオンライン化(商習慣の変化)

従来の海外展開では、現地の展示会への出展や商社を介した複雑な流通経路の開拓が必須でした。しかし、BtoB仕入れ担当者の世代交代が進んだことで、仕入れや買い付けの現場でも「まずはWebで検索し、オンラインで完結させる」という購買行動が主流になっています。

2. スモールスタート型の海外バイヤーマッチング

BtoB向けの越境プラットフォームを活用することで、日本の地方中小企業であっても、海外のバイヤーとダイレクトにマッチングできるようになりました。コンテナ単位の大口取引ではなく、「まずは小口注文でテスト販売し、売れ行きを見て定期卸売へ移行する」という柔軟なスモールスタートが一般化しています。

3. 継続的なリピート購入による高い LTV

BtoCのように一過性のトレンドで消費されるのではなく、企業間取引は一度サプライチェーン(仕入れルート)に組み込まれれば、定期的なリピート発注が期待できます。そのため、1顧客あたりの生涯価値(LTV)が非常に高く、事業の安定性に大きく寄与します。

「市場全体が成長している」というマクロな話に留まらず、自社の商材を「卸売(BtoB)」という切り口で海外へ展開することは、BtoCの激しい競争を避けて大きな先行者利益を獲得するための、極めて現実的かつ合理的な経営判断と言えます。

国・地域別の詳細トレンド:米国・台湾・ベトナムの市場特性

越境EC市場を攻略する上で、単に「人口が多い国」や「GDPが高い国」を選ぶだけでは失敗のリスクが高まります。既存の記事で解説した中国・インドに加え、自社の商材やリソースに応じて選ぶべき、特に収益性と期待値の高い「米国」「台湾」「ベトナム」の3ヵ国について、実務目線での市場特性を解説します。

米国:高い購買力と円安を武器にする最大級の市場

米国は、世界トップクラスの安定した購買力を持つ最大級のターゲット国です。大きな特徴は、「客単価(購入単価)の高さ」にあります。
米国市場では品質の高い「Made in Japan」ブランドに対する信頼が根強く、伝統工芸品、高品質なアパレル、高級サプリメント、ホビー・アニメグッズなどは、高価格帯であっても価値を認められればスムーズに購入されます。
さらに、近年の歴史的な円安の進行により、米国ユーザーから見て日本製品の価格競争力が大幅に向上しました。客単価が高いため、越境ECの大きな課題である「国際物流コストや関税」を利益の中に吸収しやすく、1件あたりの収益性を高く維持しやすいのが米国の大きなメリットです。

台湾:親日度・リピート率が高い「初進出」の有力な選択肢

台湾は、非常に高い親日度と日本製品への絶大な信頼感を持つ、日本の事業者にとって参入障壁が特に低い市場です。特筆すべきは、「リピート率の高さ」と「旅アト需要」の強さです。
訪日リピーターが非常に多い台湾では、「日本旅行中に気に入って使った化粧品、食品、日用品を、帰国後も越境ECで繰り返し購入する」という行動が日常化しています。また、LINE(2025年9月末時点の利用率は人口の約94%)やFacebook、InstagramといったSNSコマースやライブコマースがインフラとして深く浸透しており、現地ユーザーとシームレスに繋がりやすい環境があります。
※LINEヤフー公式データより(2025年9月末時点、月間アクティブユーザー2,200万人÷台湾人口2,331万人)。
地理的にも日本と近く、配送日数や物流コストを他国より大幅に抑えられるため、越境ECのファーストステップ、あるいはテストマーケティングの場として推奨される国です。

ベトナム:平均年齢32歳、爆発的な成長を続けるデジタルネイティブ市場

ベトナムは、実質GDP成長率が8%超と高水準を維持しており(2025年実績:8.02%)、東南アジアの中でも特に勢いのある急成長市場です。この市場を牽引しているのは、約1億人の人口を支える「平均年齢 32歳(年齢中央値 約34歳)」という若さです。 ※ベトナム統計局発表(2026年1月)。2025年通期のGDP成長率は前年比8.02%で、政府目標の8%以上を達成。東南アジアでトップクラスの成長率を記録しています。
Z世代・ミレニアル世代を中心とした若年層は、PCではなくスマートフォンでの購買が主流の「モバイルファースト/SNSネイティブ」です。ShopeeやLazadaなどのECモールでの縦型UIや、TikTokを用いたライブコマースにより、コンテンツを見てその場で即決する購買行動が定着しています。
ベトナムでも日本製品への好感度は非常に高く、アニメ関連グッズやキャラクター商品のほか、若者向けのファッション、コスメ、健康食品などが有望なジャンルとして急伸しています。今後の所得水準の上昇に伴い、さらなる市場拡大が見込まれている、未来のポテンシャルが極めて高い国です。

為替変動(円安)が越境EC市場の実質収益に与える影響

越境ECビジネスにおいて避けて通れないのが為替レートの変動です。多くの事業者は「円安=日本製品が海外で安くなるから売れやすくなる」という売上高の増減だけに目を向けがちですが、本当に着目すべきは、円安局面が事業者の「実質的な利益率(収益構造)」にどのようなインパクトをもたらすかという視点です。
為替の波を味方につけることで、経営戦略に応じて以下の2つの強力な市場アプローチ(攻略法)を選択できるようになります。

①【利益率重視】現地価格を「据え置き」にし、為替差益を最大化する

海外向けの販売価格(ドル建てや現地通貨建て)を、円安が進んでもあえて変更せず「据え置く」戦略です。
この場合、海外の顧客から見れば購入価格は変わりませんが、日本円に換算した際の売上高、粗利益、実質的な利益率が向上します。仕入れ値や国内の製造コストが同じであれば、円安の進行分がそのまま自社の純利益(為替差益)となります。
こうして得られた潤沢な利益を、現地でのWeb広告出稿やインフルエンサーマーケティングなどの販促費、あるいは物流体制の強化(配送スピードの短縮)へと再投資することで、一過性のブームに終わらない強固な海外ビジネスの基盤を築くことができます。

②【シェア拡大重視】現地価格を「引き下げ」、競合を圧倒する

円安による為替優位性を活かし、現地での外貨建て販売価格をあえて引き下げる(実質的な値下げを行う)戦略です。
これにより、海外の現地ブランドや、他の競合国(中国や欧米など)の類似製品に対して、強力な「価格競争力」をアピールすることが可能になります。これまで「品質が良いが価格が高くて手が届かない」と躊躇していた海外の潜在顧客層やバイヤーを一気に獲得できるため、短期間で大きな販売ボリュームを記録し、大きな販売シェアの獲得に繋がります。

このように、円安は単に「風が吹けば桶屋が儲かる」的な外部要因ではなく、企業の経営フェーズや財務戦略に応じて「利益の最大化」か「シェアの急拡大」かを自らコントロールできる、強力な経営武器なのです。

まとめ

越境ECは今後も世界的に大幅な成長が見込まれます。一方で、競争が激化することも考えられます。日本企業が世界市場で生き残るためには、他社との差別化を念頭に「需要のある地域×自社の強みが活きる商品」に集中することです。

これからはAI・ビッグデータ・物流DX以外の分野でも、技術革新が起こります。越境ECの運営で活用できるテクノロジーや外部サービスがあれば積極的に導入することが重要です。そうした変化にいかに柔軟に対応できるかが鍵となるでしょう。

越境ECの3つの始め方をわかりやすく比較
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ECモールへの
出店
越境ECサイト
を構築
購入代行モール型 購入代行自社サイト型
導入のしやすさ ECモールに
出店準備が必要
立ち上げに
多大な時間が必要
国内ECに
タグ1行追加のみ
国内ECに
タグ1行追加のみ
運用のしやすさ 海外向け
オペレーションを
整える必要あり
海外向け
オペレーションを
整える必要あり
海外向け
オペレーションを
整える必要なし
海外向け
オペレーションを
整える必要なし
導入コスト 異なる言語で
出店準備が必要
多大な
構築コストが必要
国内ECの活用で
コストを抑えられる
国内ECの活用で
コストを抑えられる
運用コスト 多言語CSや
海外発送など
自社で行う必要
多言語CSや
海外発送など
自社で行う必要
多言語CSや
海外発送など
対応不要
多言語CSや
海外発送など
対応不要
戦略の自由さ ECモールの
ルールに従う必要
自社ECサイトなので
自由に行える
自社ECサイトなので
自由に行える
自社ECサイトなので
自由に行える
ブランディング ブランドイメージの
確立が難しい
自社ECサイトなので
ブランドを
自由に表現できる
モールに遷移する
のでブランド体験が
途切れる
自社ECサイトなので
ブランドを
自由に表現できる
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